Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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野口悠紀雄「ファイナンスの基礎」@Taejunomics第四回
内分線の宿題の答えは、作成者ご本人の承諾を得て、ここに載せておきます。 
https://www.webfile.jp/dl.php?i=341870&s=49a76ffb04c232998443



さて、今回は、引き続き先物取引のお話です。

1.無裁定条件 (no-arbitrage condition)
2.裁定取引の方法
3.金利平価



1.無裁定条件 (no-arbitrage condition)

前回みたように、先物取引が市場参加者に果たす役割は、リスクのヘッジと投機の方法をもたらすことにあります。先物契約により、分散投資では消せない類の不確実性なども、ヘッジすることが可能になりますし、また、将来の価格の変動を読んで利益を得ようとする投機(speculation)活動を行うこともできます。

さて、前回の記事の最後の質問に戻りましょう。与えられた現物価格と先物価格によって、ゼロの元手で、確実に利益を上げることは可能でしょうか。 

元手ゼロで、確実に利益を上げる取引を、裁定(Arbitrage)取引と呼びます。
(裁定取引について詳しく知りたい方は僕が前に書いた、
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-765.html#more を参考にしてください。)

結論を述べましょう。市場において借入が自由で、現物の空売り(現物を借りてきてこれを売ること)が可能であり、また、現物の保管コストや現物から発生する収益はないとします。物価変動もないとします。その時、

先物価格=(1+利子率)×現在の現物価格    … ♪

という関係式が成り立っているときは、元手ゼロで確実な利益をあげることは不可能です。逆の場合は、裁定取引が可能となります。よって、前回の数字の例でいえば、現物価格が2セントで先物価格が5セントだったのですから、利子率が150%(!)でないのなら確実に利益を上げることは可能となります。 



(直観的説明)―――――――――

ここに、ダイヤモンドがあり、お店に並んでいるとします。このダイヤモンドの値段が100万円、借入利子率が10%だとしましょう。ダイヤモンドは、今あなたがアクションを起こさないと、売れてしまうかもしれません。このダイヤモンドを、1年後に確実に持っているためには、二つの方法がありますよね。
・借金をして、今ダイヤモンドを買い、持ち続ける
・100万円以上の値段Xで必ず買うと契約して(先物買い)、1年後に買う

借金をしてダイヤモンドを買うとしたら、1年後にダイヤモンドを持っているために必要なお金は、100万円×(1+金利10%)=110万円ですよね。

先物契約によっても、あなたが得られる経済的効果は全く同じわけです。(違うのは、あなたがダイヤモンドを持っているという満足感だけですが、これは考慮に入れないとします。)同じ経済的効果をもたらす取引に要するコストが違うなんてことはあまりなさそうです。

―――――――――――


2.裁定取引の方法

では、もし、無裁定条件を示す式♪が成立していないのなら、どうなるでしょう。
二つの場合を考えてみましょう

1)先物価格が120万円の時  ( 先物価格 > (1+利子率)×現在の現物価格 )

このときは、あなたは、
・先物でダイヤを売る契約をして
・お金を借りてダイヤを買って
・1年後にダイヤを先物契約通りに売る
ことをすればいいわけです。

お金は借り入れるわけですから、元手はゼロです。
1年後にお金を返すのですが、それは、利子つきで110万円。
ダイヤは先物取引では120万円で売れるのですから、そこから得られる利益は120万円。

よって、あなたは元手ゼロで10万円の利益を得ることができます。


2)先物価格が100万円の時  ( 先物価格 < (1+利子率)×現在の現物価格 )

授業で宿題になってしまったので、まだ書けないのですが、ここでのポイントは、「現物の空売り」にあります。 


この、無裁定条件式のインプリケーションは非常に重要です。 それは、

先物価格は、現物価格か利子によってのみ変化する

というものです。 シンプルですよね。
実際に金などについては、理論的な価格と実際の価格はほぼ一致しています。




3.金利平価

為替に関しては、これまでの事を考えると同様に、

(1+国内利子率)=(1+外国利子率)×(1+外国通貨の先物価格の変化率)
=(1+外国利子率)×(先物為替レート/現行為替レート)・・・♪♪

で決定されます。この式は、金利平価式と呼んだりします。
これについても、非常に単純な直観的説明をすることができます:円で預金して将来ドルに換えても、今ドルに換えてドルで預金しても、得られる経済的効果は同じだろうから、両者の価格は同じだろう、ということですね。
考えてみてどうしてもわからない方は、メールください:taejun.shin@gmail.com

この簡単な♪♪式から、現在の日米の為替相場の事を知ることができます。


上の♪♪式は、近似的には、次のような式にすることができます。

国内利子率=外国利子率+先物価格の変化率   …〒

この式をもう少しいじると、

国内利子-外国利子率=先物価格の変化率

となります。


なので、円金利がドル金利より高ければ、円高ドル安になりますし、逆は逆です。
なぜそうなるかというと、これが成立していない限り裁定取引が働き、円売り・ドル買い、もしくは円買い・ドル売りが起こり、為替レートが金利平価式を満足させる水準までに移動するからです。

日本の金利が高かった90年代、円高ドル安になるはずでした。これを抑えるために、政府は外国為替介入をして、無理やりに円安を維持してきたわけですね。 これは、為替レートは無裁定条件を満たしていないという事を意味します。 この機会をとらえて、裁定利益を上げたヘッジファンドは少なくありません。 そのヘッジファンドの利益は、、当然ながら、政府の損失によって得られたものなのですよね。

日本の金利はこの期間非常に低かったので、円安ドル高が進みました。
しかし、その後、サブプライムの影響により、この傾向が変化しているわけですね。


というわけで、今回は以上です。
(受講生からのコメントがほしいところなのですが…^^;)



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